冬季閉山中の富士山で、遭難による救助要請が相次いでいる。
登山道が通行禁止となる厳冬期にもかかわらず、外国人登山者による強行登山が後を絶たない。
背景には、中国のSNS上で拡散されている危険な登山情報の存在が浮かび上がっている。
■ 冬季閉山中も続く遭難と救助要請
冬季閉山中の富士山では、この冬も警察や山岳救助隊が出動する事例が続いている。
積雪と凍結に覆われた山は極めて危険で、本来この時期の登山は全面的に禁止されている。
それでも入山する登山者が後を絶たず、救助活動が常態化しつつあるのが現状だ。
■ 中国SNSに拡散する“強行登山”情報
こうした投稿は体験談として共有され、閲覧者に「行ける山」という誤った認識を与えている可能性がある。
■ 観光地とは別世界 冬の富士山の実態
しかし冬の富士山は、夏とはまったく別の山だ。
気温は氷点下まで下がり、登山道は雪と氷に覆われる。天候の急変も多く、視界が一気に失われることも珍しくない。
雪面は凍結し、スケートリンクのように滑りやすい状態になることがある。
一度転倒すれば、数十メートルから場所によっては数百メートル滑落する危険がある。
■ 救助現場は常に命がけ
静岡県警が公開した映像では、暗闇の中、凍結した斜面をライトで照らしながら救助隊が慎重に進む様子が映されていた。
救助は延べ11人態勢で行われ、完了までおよそ1日を要した。
救助に向かう隊員にとっても、常に滑落の危険と隣り合わせの活動だった。
■ 規制の限界と法的課題
夏の山開き期間以外、富士山の登山道はすべて通行禁止となっており、違反した場合は罰則が科される可能性がある。
ただし、県道として指定されている登山道以外のルートについては、明確に立ち入りを禁止できる法的根拠が乏しい。
この規制の隙間が、強行登山を完全に防げない要因の一つとなっている。
■ 問われる登山者の判断
毎年、山頂で活動する関係者は「冬の富士山がどれほど命に関わる場所かを理解してほしい」と訴える。
無謀な登山は、本人だけでなく、救助に向かう人々の命まで危険にさらす。
情報が国境を越えて拡散する現代において、冬山の危険性をどう伝え、どう抑止していくのか。
富士山を巡る課題は、いまも続いている。
まとめ(締め)
冬の富士山は、挑戦の場ではなく、生死の境界線だ。
軽い判断が命を奪い、他人の命まで危険にさらす現実を、私たちは直視する必要がある。
